
第2問は何が出るのか
簿記3級の第2問は、仕訳そのものを問うというより、
「帳簿へどう記入するか」を問う問題が中心です。
朝のこぐま商会。
開店前のカウンターで、こぐまさんが分厚い帳簿を前に首をかしげていました。
こぐまさん:「第2問って、仕訳問題とはちょっと違うよね。帳簿も伝票も台帳も出てきて、何を見ればいいか混ざりやすいんだ。」
ミーヤ:「“どの帳簿に書くか”とか、“どの勘定に転記するか”とか、“伝票をどう分けるか”とか、見ているものが毎回違う感じがする!」
ペンリー:「そこが第2問のポイントです。第2問は、取引を整理して記録する力を見る問題なんです。今日は“なぜその帳簿があるのか”まで、こぐま商会の仕事に結びつけて見ていきましょう。」
公式の出題範囲エビデンス
この整理の根拠は、日本商工会議所の 出題区分表 です。
- 出題区分表ページ
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list - 簿記検定試験出題区分表(2022年度適用)
商業簿記・会計学(1〜3級)
https://www.kentei.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/03/2021_shokai1-3.pdf
日本商工会議所は、2026年度試験に適用する区分表は 2022年度と同様 と明記しています。
そのため、2025年度 と 2026年度 の学習では、2022年度適用の区分表を基準に考えて問題ありません。
実際に区分表には、3級の範囲として次の内容が含まれています。
勘定記入法則主要簿(仕訳帳と総勘定元帳)補助簿証ひょうと伝票(入金・出金・振替伝票)現金 / 現金出納帳 / 当座預金 / 当座預金出納帳 / 小口現金 / 小口現金出納帳売掛金 / 買掛金 / 売掛金元帳 / 買掛金元帳
このページで紹介している第2問の練習テーマは、上の公式範囲を第2問で出やすい形に整理したものです。
ミーヤ:「じゃあ、このページの内容は“感覚で並べた予想”じゃなくて、ちゃんと公式の出題区分表を土台にしてるんだね。」
ペンリー:「その通りです。第2問専用の一覧ではありませんが、3級で学ぶ帳簿や伝票の範囲を確認する根拠として十分使えます。」
2027年度からの変更予定
2027年度試験から適用する 暫定版 もすでに公表されています。
- 簿記検定試験出題区分表(2027年度試験から適用する暫定版)
商業簿記・会計学(1〜3級)
https://www.kentei.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2025/12/2027kubunhyo.pdf
出題区分表ページでは、2027年度以降の試験に適用する暫定版 であり、2026年度試験には2022年度版が適用 されると案内されています。
したがって、2027年度以降の変更点は 参考情報 として見るのが安全です。
特に注意したいのは、2027年度暫定版でも
伝票(入金・出金・振替)現金出納帳小口現金出納帳当座預金出納帳受取手形記入帳支払手形記入帳
といった帳簿・伝票まわりは引き続き区分表に見られる点です。
一方で、制度改定や用語変更の影響は今後更新される可能性があるため、最新の公式ページもあわせて確認してください。
大きく分けると、次の4系統で整理できます。
- 勘定記入問題
- 補助簿の記入先判定
- 伝票記入
- 固定資産台帳と減価償却
こぐま商会の問題道場 第2問でも、この4系統を組み合わせて出題しています。
こぐまさん:「なるほど。“何が出るか”より先に、“何のための記録か”で分けると見やすいんだね。」
勘定記入問題で出やすい勘定
勘定記入問題では、T字勘定に必要な相手科目と金額を書く形式が中心です。
第2問で意識したいのは、「勘定科目は単なる暗記語ではなく、実務で管理したい対象ごとに分かれている」という点です。
よく出る勘定は次のとおりです。
現金・小口現金・当座預金受取手形・支払手形・売掛金・買掛金売上・仕入建物・土地・車両運搬具・備品現金過不足電子記録債権・電子記録債務
ミーヤ:「勘定科目って、ただの名前の一覧に見えてたけど、実際は“何を管理したいか”で分かれてるんだね。」
ペンリー:「はい。こぐま商会でも、店頭のお金、銀行口座、得意先への請求、仕入先への支払予定を全部ひとまとめにしたら、もう管理できません。」
なぜこれらの勘定があるのか
こぐま商会を例にすると、店頭のレジにあるお金、配達用の口座残高、得意先からまだ回収していない代金、仕入先へまだ払っていない代金は、それぞれ管理したい対象が違います。
だから 現金 と 当座預金 は分かれ、売掛金 と 買掛金 も分かれています。
さらに、固定資産は「今すぐ費用になるもの」ではなく、長く使う設備です。
森の店舗で使う 建物、土地として持つ 土地、配達用の 車両運搬具、レジ台や棚などの 備品 は、日々の費用とは別に管理しないと、資産の状態が見えなくなります。
現金過不足 は、レジのお金が帳簿と合わないときの仮置き場所です。
こぐま商会で閉店後に現金を数えたら 1,100円 足りなかった、でも理由がその場では分からない、というときに一度ここへ入れて原因調査をします。
電子記録債権 や 電子記録債務 は、紙の手形に近い役割をデジタルで管理するための勘定です。
試験では手形ほど頻度は高くありませんが、3級範囲として見ておくと整理しやすくなります。
こぐまさん:「“現金過不足”って変わった名前だけど、要は“まだ理由が分からない差額の仮置き場”なんだね。」
ペンリー:「そうです。実務でも、閉店後にレジ差額が見つかったら、その場では原因が分からないことがあります。だからこそ一時的な受け皿が必要なんです。」
実務ではどう使うのか
現金: レジや金庫の残高を管理する小口現金: 店頭の細かい立替や交通費、雑費をまとめて管理する当座預金: 振込や小切手決済を管理する受取手形・電子記録債権: 将来受け取る約束を管理する支払手形・電子記録債務: 将来支払う約束を管理する売掛金・買掛金: 得意先別・仕入先別の未回収、未払を管理する売上・仕入: 商品売買の本体を管理する建物・土地・車両運搬具・備品: 長く使う資産を管理する現金過不足: 原因未確定のズレを一時的に管理する
ミーヤ:「つまり勘定記入問題って、“この取引ではどの記録箱が動くか”を見る問題なんだ。」
第2問での見分け方
- 現金を引き出した:
現金と当座預金 - 小口現金係へ渡した:
現金と小口現金 - 手形で受け取った:
受取手形 - 手形を振り出した:
支払手形 - 掛けで売った:
売掛金 - 掛けで仕入れた:
買掛金 - 商品を売った:
売上 - 商品を仕入れた:
仕入 - 店舗や設備を取得した:
建物土地車両運搬具備品 - 帳簿と現金が合わない:
現金過不足 - 手形ではなく電子的な記録で債権債務を管理する:
電子記録債権電子記録債務
補助簿で出やすい帳簿
補助簿の問題は、「この取引はどの帳簿に書くか」を判断する形式です。
こぐまさん:「総勘定元帳があるなら、それだけで良さそうに見えるけど……。」
ペンリー:「小さなお店でも、毎日現金、掛け、在庫、固定資産が動きます。総勘定元帳だけに全部書くと、後から追うのが大変なんです。」
補助簿・補助元帳には何があるか
現金出納帳・小口現金出納帳・当座預金出納帳受取手形記入帳・支払手形記入帳売上帳・仕入帳得意先元帳・仕入先元帳商品有高帳・固定資産台帳
なぜ補助簿があるのか
総勘定元帳だけでも決算書は作れます。
ただし、こぐま商会のように毎日いろいろな取引があると、総勘定元帳だけでは
- 今日は現金がいくら動いたのか
- どの得意先の売掛金が残っているのか
- どの商品が何個残っているのか
- どの固定資産をいくらで買って、いくら減価償却したのか
が追いにくくなります。
そこで、実務では「同じ種類の取引をまとめるノート」として補助簿を使います。
ミーヤ:「“補助簿”って、メインの帳簿を助けるための整理ノートなんだね。」
実務ではどう使うのか
森のこぐま商会で考えると、こんなイメージです。
現金出納帳: 店頭レジと金庫のお金の動きを追う小口現金出納帳: 店番さんの細かい支払いをまとめる当座預金出納帳: 振込や引き落とし、小切手の流れを見る受取手形記入帳・支払手形記入帳: 手形の回収予定、支払予定を確認する売上帳・仕入帳: 商品売買を毎日まとめる得意先元帳・仕入先元帳: 相手先ごとの残高管理をする商品有高帳: 森の店頭や倉庫にある在庫数量と単価を追う固定資産台帳: レジ台、棚、配達車、建物などの履歴を管理する
こぐまさん:「得意先元帳と売上帳、仕入先元帳と仕入帳がごちゃごちゃになりやすかったけど、役割が違うんだね。」
ペンリー:「はい。売上帳・仕入帳は“取引そのもの”をまとめ、得意先元帳・仕入先元帳は“相手先ごとの残高”を追う帳簿です。」
第2問での見分け方
- 現金を払った・受け取った:
現金出納帳 - 小口現金係の処理:
小口現金出納帳 - 口座へ入金・引き落とし:
当座預金出納帳 - 手形が出てきた:
受取手形記入帳または支払手形記入帳 - 商品の売買:
売上帳仕入帳商品有高帳 - 掛けの相手先管理:
得意先元帳仕入先元帳 - 固定資産の取得や減価償却:
固定資産台帳
伝票記入は3つに分ける
伝票問題は、森の店頭で起きた取引をその場で小さな紙にまとめるイメージです。
実務で伝票がある理由は、取引をその場で整理し、あとで帳簿へ流し込みやすくするためです。
ミーヤ:「伝票って、試験のためだけにある紙だと思ってた。」
ペンリー:「実務でも、“まず現場で何が起きたかを短く切り出す”ために役立ちます。現金の受け取り、支払い、現金を伴わない整理を分けると、後工程がかなり楽になります。」
こぐま商会でも、現金を払ったときは出金伝票、現金や小切手を受け取ったときは入金伝票、現金を伴わない整理は振替伝票、というように分けて考えると見通しが良くなります。
第2問では、次のように分解して考えると整理しやすくなります。
- 総額
- 現金で払った分
- 現金以外で受け取った分
- 掛けや未払で残った分
伝票が実務で使われる場面
入金伝票: 売掛金の回収や現金売上の受け取り出金伝票: 消耗品費、通信費、仕入代金などの支払い振替伝票: 掛け取引、未払処理、電子記録債権債務への切替など、現金を伴わない処理
こぐまさん:「“総額・現金・残額”に分けるだけで、いきなり見通しが良くなるね。」
ペンリー:「第2問の伝票は、その分解ができるかを見ていることが多いです。数字を全部まとめて見ようとすると崩れます。」
たとえば「18,400円のうち6,400円を現金、残額は未払金」のときは、
- 出金伝票:
消耗品費 6,400 - 振替伝票:
消耗品費 / 未払金 12,000
のように考えます。
また、「売掛金 22,000円 のうち 7,000円 を現金、5,000円 を小切手、残額を電子記録債権に切り替えた」という取引なら、
- 入金伝票: 売掛金 12,000
- 振替伝票: 電子記録債権 / 売掛金 10,000
のように分けて整理します。
固定資産台帳は数字の流れを押さえる
固定資産台帳は、長く使う資産の履歴書のようなものです。
こぐま商会なら、森の店舗で使う建物、レジ台や木製棚などの備品、配達用の車両運搬具を何年使い、今いくら分残っているかをここで追います。
こぐまさん:「レジ台や配達車って、買った日に全部費用じゃないの?」
ペンリー:「そこが固定資産の大事なところです。長く使うものは、使う期間にわたって少しずつ費用化します。だから台帳で履歴を追う必要があります。」
固定資産台帳が必要なのは、固定資産が「買った瞬間に全部費用になるもの」ではないからです。
毎年少しずつ減価償却しながら、今の帳簿価額を把握する必要があります。
第2問では、次の流れを押さえると解きやすくなります。
- 取得原価
- 期首減価償却累計額
- 期首帳簿価額
- 当期減価償却費
- 決算後の累計額
ここから
- 固定資産勘定
- 減価償却累計額勘定
- 減価償却費勘定
へ転記します。
実務ではどう使うのか
- 資産をいつ取得したか確認する
- 耐用年数と減価償却方法を管理する
- 毎期の減価償却費を計算する
- 売却や除却のときに帳簿価額を確認する
簿記ラボの世界で言えば、
「この配達車は何年使っていて、今どれくらい価値が残っているか」
「この木製レジ台はいくらで買って、今は何円分帳簿に残っているか」
を管理するのが固定資産台帳です。
ミーヤ:「固定資産台帳って、“今年の減価償却費を出すための表”でもあり、“今いくら残ってるかを見る表”でもあるんだね。」
ペンリー:「その理解で十分です。取得原価、累計額、帳簿価額の流れが見えれば、第2問でもかなり強くなります。」
第2問で失点しやすいポイント
- 補助簿と補助元帳を混同する
- 総額と現金支払分と残額を分けずに考える
- 手形と掛けを同じように扱ってしまう
- 固定資産台帳で
取得原価と帳簿価額を取り違える - 建物と土地をまとめて1つの勘定で処理してしまう
こぐまさん:「“帳簿の名前を覚える”より、“何を管理するための箱か”で覚えた方が忘れにくそう。」
ペンリー:「第2問はまさにそこです。名称の丸暗記より、実務での役割から逆算した方が安定します。」
こぐま商会での練習の使い方
こぐま商会の第2問演習では、次のように進めるのがおすすめです。
- まずは
補助簿と伝票のセットで慣れる - 次に
勘定記入を混ぜて、相手科目の見分けを固める - 最後に
固定資産台帳入りのセットで仕上げる
一覧ページから、どの形式が含まれるかを見て選べます。
- 問題道場 第2問:
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ミーヤ:「じゃあ最初は補助簿と伝票で“記録の分け方”を覚えて、次に勘定記入、最後に固定資産台帳って流れが良さそう!」
ペンリー:「その順番はかなり合理的です。基礎の流れを固めてから、固定資産のような長期管理へ進むと理解しやすいです。」
まとめ
第2問は「帳簿にどう書くか」を問う問題です。
単に仕訳を覚えるよりも、
- どの帳簿に書くか
- どの勘定に転記するか
- 総額と一部支払と残額をどう分けるか
を意識すると、点が安定します。

ロジカルで几帳面なIT会計士。帳簿の役割と出題パターンを整理して説明するのが得意。

