
【簿記3級】手付金を相殺する仕訳|仕入は前払金、売上は前受金を使う
2026年5月16日 に公開

手付金は「先に払った側」と「先にもらった側」で科目が変わる
こぐま商会では、仕入先へ商品を注文するときに手付金を支払うことがあります。一方で、お客さんから注文を受けたときに手付金を受け取ることもあります。
手付金を商品代金と相殺する仕訳では、立場を先に見ます。こちらが先に払っていた手付金なら前払金、こちらが先にもらっていた手付金なら前受金です。商品を受け取った日や引き渡した日に、前払金または前受金を消して、残額を買掛金や売掛金にすると考えます。
こぐまさん:「手付金を相殺って、仕入でも売上でも同じように見えるね。」
アカリ:「ここは立場を分けて見よか。払った手付金か、もらった手付金かで科目が変わるで。」
ミーヤ:「前払金と前受金、名前が似てて反対にしそう!」
この記事では、簿記3級で迷いやすい「手付金の相殺」を、仕入側と売上側に分けて整理します。
【こぐまTips:手付金は立場で決める】
アカリ:「自分が払ったら、あとで商品を受け取る権利。自分がもらったら、あとで商品を渡す義務やね。」
こぐまさん:「だから、前払金は資産、前受金は負債なんだね。」
| 立場 | 注文時の科目 | 商品の受け渡し時 |
|---|---|---|
| 買う側として手付金を払った | 前払金 | 仕入時に前払金を消す |
| 売る側として手付金をもらった | 前受金 | 売上時に前受金を消す |
手付金は、商品代金の一部を先に動かす取引です。商品をまだ受け取っていないなら仕入ではなく前払金、商品をまだ渡していないなら売上ではなく前受金です。
手付金の相殺は、先に置いていた前払金または前受金を、商品代金の仕訳で消す処理です。
こぐま商会ではどう仕訳する?
例題1:仕入時に前払金を相殺する
こぐま商会は、仕入先へ商品を注文したときに手付金12,000円を現金で支払っていました。後日、商品80,000円を受け取り、手付金を差し引いた残額は掛けとしました。
ミーヤ:「先に払った12,000円は、商品を受け取るまで前払金なんだね。」
アカリ:「その読み方で合ってるで。商品が届いた日に、前払金を仕入へつなげるんやね。」
注文時の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 前払金 | 12,000 | 現金 | 12,000 |
商品を受け取った日の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 80,000 | 前払金 | 12,000 |
| 買掛金 | 68,000 |
仕入は商品代金の総額80,000円で記録します。先に払っていた前払金12,000円を消し、残額68,000円を買掛金にします。
こぐまさん:「仕入は総額、貸方で前払金と買掛金に分かれるんだね。」
例題2:売上時に前受金を相殺する
こぐま商会は、得意先から商品注文の手付金15,000円を現金で受け取っていました。後日、商品90,000円を引き渡し、手付金を差し引いた残額は掛けとしました。
ミーヤ:「今度は、こぐま商会が先にもらった側だね。」
アカリ:「そういうことやね。商品を渡すまでは、お客さんへの約束が残ってるで。」
注文時の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 15,000 | 前受金 | 15,000 |
商品を引き渡した日の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 前受金 | 15,000 | 売上 | 90,000 |
| 売掛金 | 75,000 |
売上は商品代金の総額90,000円で記録します。先にもらっていた前受金15,000円を消し、残額75,000円を売掛金にします。
こぐまさん:「売上も総額で見て、借方で前受金と売掛金に分かれるんだね。」
前払金と前受金を反対にしないコツ
手付金で迷ったら、「こぐま商会から見て」お金が先に出たのか、先に入ったのかを確認します。
| 見るポイント | 科目 |
|---|---|
| こぐま商会が先に払った | 前払金 |
| こぐま商会が先にもらった | 前受金 |
| 商品を受け取った | 仕入 |
| 商品を渡した | 売上 |
アカリ:「お金の向きだけやなくて、商品を渡したか受け取ったかも見よか。」
ミーヤ:「先に払ったら前払金、先にもらったら前受金。主語はこぐま商会だね!」
前払金の基本は前払金の記事、前受金の基本は前受金の記事でも確認できます。
ここで迷いやすいポイント
仕入や売上を残額で記録してしまう
手付金を相殺しても、仕入や売上は商品代金の総額で記録します。残額だけを仕入や売上にすると、取引規模が小さく見えてしまいます。
前払金と前受金を主語なしで覚えてしまう
「先に払った」「先にもらった」は、必ず自社から見ます。こぐま商会が払ったなら前払金、こぐま商会が受け取ったなら前受金です。
手付金を現金のまま残してしまう
注文時に現金が動いていても、商品代金と相殺する日には前払金または前受金を消します。現金をもう一度動かすわけではありません。
仕訳クイズ
こぐまさん:「最後に、買う側と売る側を分けて考えよう。」
アカリ:「ええとこやね。主語をこぐま商会に置いたら迷いにくいで。」
Q. こぐま商会は、以前注文を受けた商品120,000円を本日引き渡した。注文時に受け取っていた手付金20,000円を差し引き、残額は掛けとした。仕訳は?
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 前受金 | 20,000 | 売上 | 120,000 |
| 売掛金 | 100,000 |
こぐま商会は先に手付金を受け取っていたため、前受金を使います。商品を引き渡したので前受金を消し、残額は売掛金にします。
エピローグ
こぐまさんは、注文メモを「払った手付金」と「もらった手付金」に分けてファイルしました。
こぐまさん:「手付金は、買う側なら前払金、売る側なら前受金。商品の日に相殺するんだね。」
ミーヤ:「主語をこぐま商会にしたら、反対にしにくい!」
アカリ:「その整理でいこか。商売は、先に動いたお金と、あとで渡す商品をきれいにつなげるんやで。」
まとめ
こぐまさん:「今日のポイントは、手付金を自社の立場で見ることだね。」
- こぐま商会が先に払った手付金は前払金
- こぐま商会が先にもらった手付金は前受金
- 商品を受け渡しした日に、前払金または前受金を消して残額を買掛金・売掛金にする

こぐま商会のまじめでやさしい店主。経理はまだ勉強中。
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